秋になると食欲が増えるのはなぜ?「食欲の秋」を我慢せず楽しむヒント

焼きいも、栗、かぼちゃ、きのこ、新米、秋の果物。
スーパーへ行くと、秋はなんだか「食べたいもの」が増える季節です。
夏には冷たい麺やさっぱりしたものを選ぶことが多かったのに、涼しくなってくると温かいスープや炊きたてのごはんがおいしそうに見える。夕方になると、「なんかお腹空いたな」と思うことも増えたような。
そんなときに思い浮かぶのが、「食欲の秋」という言葉です。でも、秋になったから本当に食欲が増えているのでしょうか。そして、もし食べたいものが増えたとしても、それは「食べすぎないように気をつけなくちゃ」と警戒することなのでしょうか。
せっかくおいしいものがたくさんある季節。
今回は食欲を抑える方法ではなく、秋の「食べたい」と心地よく付き合うことを考えてみます。
目次
「食欲の秋」って、本当に食欲が増えるの?
「秋になると食欲が増えるのは、夏より気温が下がるから」
「日照時間が短くなってセロトニンが減るから」
そんな説明を見かけることがあります。
実際、人の食欲やエネルギー摂取量には一年を通した変動がある可能性があり、気温や日照時間などの環境要因との関係も研究されています。
ただし、現在の研究では、その仕組みがすべて明らかになっているわけではありません。
2025年に発表された日本人成人の食事摂取に関する系統的レビューでも、多くの食品群や栄養素について季節による摂取量の違いは一貫していませんでした。
一方で、果物やいも類など、一部の食品では秋の摂取量がほかの季節より多い傾向も確認されています。
参考:J-STAGE
Seasonal Variation in the Intake of Food Groups and Nutrients in Japan: A Systematic Review and Meta…
Access full-text academic articles: J-STAGE is an online platform for Japanese academic journals.
つまり、
「秋になれば誰でも自然に食欲が増す」
と単純に言い切れるわけではなさそうです。
食欲だけではなく、「食べたいもの」が増えているのかも
秋になって食欲が増したように感じる理由は、からだの変化だけではないと思います。
スーパーへ行けば、秋限定の商品が並ぶ。
カフェでは栗やさつまいものスイーツが始まる。
新米、さんま、きのこ、梨、柿、ぶどう。
季節のおいしいものを目にする機会そのものが増えます。夏の暑さがやわらぎ、温かいものも食べやすくなる。
そう考えると、「秋になってお腹が空く」だけではなく、
「秋になって、食べたいものが増えた」
ということもありそうです。それなら、少し楽しい話ですよね。
秋に食べたいものを、まずは楽しんでみる
食欲が増えたと感じると、
「太らないようにしなくちゃ」
「食べすぎないようにしなくちゃ」
と考えてしまうことがあります。
特に30代、40代になると、以前より体重が落ちにくくなった気がしたり、食べるものに気をつけるようになったり。食欲があることそのものを、少しネガティブに感じることもあるかもしれません。
でも、秋にはこの時期だからこそ楽しめる食べ物があります。
栗ごはん。
焼きいも。
きのこのスープ。
秋鮭。
新米。
梨や柿。
「食欲をどう抑えるか」だけを考えていたら、ちょっともったいない。毎日の食事の中に旬のものをひとつ取り入れてみる。それだけでも、秋を感じる時間になります。
旬のものを「特別な料理」にしなくてもいい
旬の食材というと、きちんと料理しなければいけないように感じることがあります。
でも、もっと簡単でいいと思います。
いつもの味噌汁にきのこを入れる。
ごはんに秋鮭を合わせる。
スーパーで焼きいもを買って帰る。
朝食に梨を切る。
冷凍のかぼちゃをスープに入れる。
手間をかけた季節料理を作らなくても、ひとつ秋の食材が入るだけで食卓の感じは変わります。
忙しい日は、「旬のものを料理する」のではなく、旬のものを買ってくるでも十分です。
「食べちゃった」ではなく、「食べたかったから食べた」にする
秋になると増えるのが、魅力的なスイーツ。
モンブラン。
スイートポテト。
かぼちゃプリン。
期間限定のお菓子。
カフェのメニューを見るたびに、「また秋限定が出てる」と気になります。
でも、食べたあとに、「食べちゃった」と思うと、せっかくおいしかったものまで少し悪いことのように感じてしまいます。
もちろん、毎日好きなだけ食べればいい、という話ではありません。
ただ、本当に食べたかったものなら、「今日はモンブランを食べよう」と決めて、ちゃんと楽しむ。
そのほうが私は気持ちいいと思います。
「なんとなく食べる」と「食べたいから食べる」を分けてみる
私が少し意識したいのは、食べる量そのものより、
なぜ今これを食べたいのかな?
ということです。
本当にお腹が空いている。
秋限定で気になっていた。
今日はこれを楽しみにしていた。
それなら、食べる時間も楽しみたい。
一方で、
仕事をしながらなんとなくお菓子の袋を開ける。
夕食を食べた直後なのに、習慣で何か探している。
疲れていて、何か食べると気分転換になりそう。
そんな日もあります。もちろん、それも悪いことではありません。
ただ、「お腹が空いた」と「なんとなく口にしたい」は、少し違うことがあります。
自分を制限するためではなく、「あ、今日はお腹が空いているんじゃなくて、仕事に飽きてるのかも」と気づけるだけでも十分です。
コーヒーを飲んだら満足するかもしれないし、それでも食べたければ食べる。
食べる前に、自分に一度聞いてみる。
それくらいの距離感が、私はちょうどいいと思っています。
秋は「温かいものがおいしい」が戻ってくる
夏の間は、冷たいものやさっぱりしたものを選びたくなる日が多くあります。
そこから気温が下がってくると、
湯気の立つスープ。
温かいお茶。
炊きたてのごはん。
そんなものがまたおいしく感じられるようになります。
私は、この変化も秋の食事の楽しさだと思います。
スープは秋の食材を取り入れやすい
きのこ、かぼちゃ、さつまいも、根菜。
秋に食べたくなる食材には、スープに入れやすいものがたくさんあります。
冷蔵庫にある野菜と一緒に煮るだけでもいい。味噌汁でも、コンソメスープでも、豆乳スープでも。温かい料理は、秋らしさを感じやすいだけでなく、一度にいろいろな食材を組み合わせやすいのも便利です。
仕事から帰ってきた夜に、温かいスープが一杯ある。それだけで少しほっとする日もあります。
「健康のために野菜を食べなきゃ」と考えるより、
今日は温かいものが食べたいから、スープにしよう。
そんな選び方でもいいですよね。
「食欲の秋」を数字だけで見ない
食欲が増えると気になるのが、体重です。
昨日より増えた。
最近食べすぎたかもしれない。
体重を記録している人なら、数字が気になることもあります。
もちろん、体重管理が必要な場合や、健康上の理由で食事量を調整している場合は、それぞれに合った食生活が大切です。
でも、毎日の小さな変動だけを見て、「昨日食べたから増えた」「今日は減らさなきゃ」と食事を帳尻合わせのように考えすぎると、秋のおいしい時間まで落ち着かなくなってしまいます。
食事は、栄養をとるためだけのものではありません。
おいしい。
温かい。
香りが好き。
季節を感じる。
誰かと食べるのが楽しい。
そういう感覚も、食べることの一部です。
食欲は毎日同じでなくてもいい
たくさん動いた日。
仕事が忙しかった日。
寝不足の日。
ゆっくり過ごした休日。
毎日の生活が違えば、お腹の空き方も同じとは限りません。
今日はいつもよりお腹が空く。反対に、あまり食欲がない。そんな変化があること自体は不思議ではありません。一食、一日だけを切り取って「食べすぎた」と判断するのではなく、少し長い目で自分の食生活を見る。
秋だからといって、食欲と戦わなくてもいいのだと思います。
食べたい気持ちを、我慢だけで解決しない
「最近ずっとお腹が空く」というときには、食欲そのものを抑える前に生活を振り返ってみるのもひとつです。
朝食や昼食が極端に少なくなっていないか。
忙しくて食事を抜いていないか。
睡眠不足が続いていないか。
いつもより活動量が増えていないか。
食事の時間が大きく乱れていないか。
夕方に強くお腹が空くなら、「食欲がありすぎる」のではなく、単純に昼食から時間が空いていることもあります。そんな日は、夕食まで無理に我慢するより、小さな間食を取り入れるほうが自分には合うこともあります。
ナッツやヨーグルト、果物、小さなおにぎりなど。もちろん、甘いものが食べたい日なら、それを選ぶこともあります。
大切なのは、
食欲をなくすことではなく、自分が何を欲しがっているのかを見ること。
そこから食べるものを選べれば十分です。
食欲の変化が大きいときは、季節だけのせいにしない
一方で、急に食欲が大きく変わった状態が続く場合は、「食欲の秋だから」と決めつけないことも大切です。
強い食欲増加や食欲不振が長く続く場合、体調や服用している薬、ストレスなど、季節以外の要因が関係していることもあります。
体重の大きな変化や体調不良を伴う場合、日常生活に支障がある場合には、医療機関へ相談してください。
季節を楽しむことと、自分の「いつもと違う」に気づくこと。どちらも大切にしたいところです。
「食欲の秋」は、おいしい季節を楽しむ言葉でもいい
秋になると食欲が増える。そう聞くと、
太る。
食べすぎる。
気をつけなきゃ。
という方向へ考えてしまうことがあります。でも、「食欲の秋」はもっと楽しい言葉として受け取ってもいいのではないでしょうか。
今年初めての焼きいもを食べる。
新米がおいしいと思う。
スーパーで梨を見つける。
温かいスープを久しぶりに作る。
季節が変わったことを、食べることで感じる。
研究でも、人の食事には一定の季節変動が見られる可能性がある一方、多くの食品や栄養素について季節差は一貫していません。だからこそ、「秋だから食欲が増えるはず」と決めつけなくてもよさそうです。
お腹が空いたら食べる。食べたいものがあれば、楽しむ。そして、ときどき「今日は何が食べたい?」と自分に聞いてみる。
秋のおいしいものを我慢する方法より、心地よく食べる方法を見つける。そんな「食欲の秋」も、私はいいと思います。
☕ Irisのひとこと|焼きいもを見つけるとうれしい
秋になると、スーパーの焼きいもが妙においしそうに見えます。
「食欲の秋だから仕方ない」ではなく、「今年もこの季節が来たな」と思いながら食べる。
季節を味わうって、きっとこういう小さなことなのだと思います。
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