運動は、もともと嫌いではありませんでした。
体育系の学校に通っていたこともあり、体を動かすこと自体には慣れていました。
だから、パーソナルトレーナーをつける、という選択肢は、当時の自分の中にはありませんでした。
まったくの初心者や、本気で体を変えたい人、アスリートが選ぶもの。
そんなイメージを、どこかで持っていました。
パーソナルトレーナーは、正直いらないと思っていました
一人でトレーニングはできる。
マシンの使いかたもトレーニングのやり方も、ある程度は知っている。
わざわざお金を払って人についてもらう必要はない。
当時は、そう思っていました。
今振り返ると、それが良いとか悪いとかではなく、その時の私には、それがベストだと思っていたということ。
最初のきっかけは、「学ぼう」ではなく「使いたかった」から
初めてパーソナルトレーナーをつけた理由は、とてもシンプルでした。
当時ジムに新しく導入された「キネシス」というマシンを使ってみたかったからです。
そのジムでは、キネシスを使用するには、パーソナルトレーナーをつける必要がありました。
だから、深く考えたというよりも、「使ってみたい」という気持ちのまま、申し込みました。
体を学ぼう、変えよう、というよりも、
「このマシン、すごそう。ちょっと面白そう」
そのくらいの軽い動機だったと思います。
※キネシスは、トップアスリートも利用したりしている、ワイヤーで負荷を調整できるマシンです。
現在は、一般的なジムでも自由に使えるところが増えていると思います。
すごいのはマシンだと思っていた、あの頃
初回のパーソナルでは、正直、感動しました。
体が、思っていた以上に自然に動く。
今まであまり使っていなかったところが、目を覚ますような感覚がありました。
当時はまだ珍しかった、ワイヤーで負荷を調整するトレーニング。
左右差に合わせて負荷を変えたり、可動域をしっかり使い切る動きができたり。
アウターマッスル・インナーマッスル・ストレッチ、あらゆるトレーニングを可能にする万能マシン。
そういう体験が、とても新鮮でした。
私は、そのときの感動を、
「マシンがすごいから」だと思っていました。
キネシスがいい。
だから体が変わる。
もっとこのマシンを使ってみたい。
そんな気持ちが先に立って、その後は、別のジムでも同じマシンを探して、グループレッスンやお試しのパーソナルを受けるようになりました。
半年たって、違和感として残ったこと
しばらくして、少しずつ違和感が出てきました。
同じマシンを使ってトレーニングしているのに、感覚が違う。
体への入り方が、どこか浅い。
同じように動いているはずなのに、「あれ?」と感じる瞬間が、少しずつ増えていきました。
あのときのトレーナーが、すごかったんだと気づいた
そこで初めて、考えが変わりました。
すごかったのは、マシンだけではなかった。
最初に出会った、あのトレーナーが、すごかったのだと。
短い時間の中で、私の体の癖を見て、その日に合った負荷を選び、どう声をかけるかまで含めて、整えてくれていた。
当時は、新しいマシンへの興味のほうが大きく、言われたことをそのままやって、体の感覚にただ感動していました。
でも、時間がたってから振り返ると、あの感覚は、トレーナーの導きがあったからこそ、生まれていたものだったのだと、気づきました。
もう一度、あの人に教わりたい
気づいてすぐに、あのときのトレーナーに、もう一度パーソナルをお願いしたいと思いました。
ただ、その頃には、そのトレーナーは、すでにそのジムにはいませんでした。
マシン導入のタイミングで、使い方などを伝えるために来ていた方だったそうです。
それでも、どうしても、もう一度教わってみたい。
そう思って、当時の話をフロントの方に伝え、トレーナーを特定してもらい、連絡を取ってもらいました。
実際に一緒にトレーニングをしてみると、自分一人でもできる、やれていると思っていた動きが、トレーナーと一緒に行うことで、まったく違った感覚が生まれたり、新たな発見が見えてきました。
少しの視点、少しの声かけ。
それだけで、動きは変わり、トレーニングは、より効率的なものになります。
その時間が、ただただ楽しくて、
「体を動かすって、こういうことだったんだ」
と、ワクワクが止まりませんでした。
学ぶ側に回って、さらに見えてきたこと
その後、数年間、同じトレーナーにお世話になりながら、自分でもトレーナーの勉強をし、資格を取得しました。
それまでに、いろいろなトレーナーのパーソナルを受け、本当にさまざまな指導の仕方を体験しました。
その中で感じたのは、トレーナーによって、体の見方も、伝え方も、本当に違うということです。
良い悪いではなく、ただ違う。
そして、その違いは、受ける側の心と体に、確実に影響します。
1対1で受けるものだからこそ、相性は、とても大切だと感じています。
私が、またお願いしたいと思えるかどうかは、30分や60分の短い時間の中で、
「もう少しやってみたい」と思える気持ちが生まれるかどうか。
今まで感じたことのない感覚に出会えたり、
もっと聞いてみたいと思えたり、
自分の体が変わるかもしれないと感じられたり。
そんな小さな前向きさが芽生えるなら、きっと、その人とは相性がいいのだと思います。
今は、こう考えています。トレーナーとのちょうどいい距離
今の私は、自分のからだは、自分がいちばんの理解者でありたいと思っています。
以前のように、「任せるか、任せないか」という考え方はしていません。
一人でできることは、自分でやる。
でも、自分では見えない部分は、誰かの目を借りる。
それくらいの距離が、今の私にはちょうどいいのだと感じています。
体のクセや小さなズレは、自分だけでは気づきにくいものです。
だから、ときどき立ち止まって、第三者の目で見てもらう。
私にとっては、それがパーソナルトレーナーでした。
一人で頑張るのでもなく、任せきりになるのでもなく。そのときの自分に合った距離で、体と向き合うこと。
あのときの経験があったからこそ、今は、そう考えています。
体を変えたのは、マシンではありませんでした。
どう見るか、どう寄り添うか。その感覚を教えてくれた人がいた、ということ。




